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最高裁判所第二小法廷 昭和50年(行ツ)85号 判決 1976年4月09日

東京都中央区銀座七丁目一七番一三号

上告人

宮城株式会社

右代表者代表取締役

大山教男

東京都中央区新富二丁目六番一号

被上告人

京橋税務署長

池田常夫

右指定代理人

二木良夫

右当事者間の東京高等裁判所昭和四八年(行コ)第七三号、同第七六号青色申告書提出承認取消処分等取消請求事件について、同裁判所が昭和五〇年六月三〇日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

本件青色申告書提出承認の取消処分を取り消す判決並びに本件再更正処分及び本件重加算税賦課決定処分を取り消す判決には所論のような効力を認めることはできないから、原審が本件源泉徴収にかかる所得税についての納税告知及び不納付加算税賦課決定処分の取消しを求める上告人の訴えにつき実体審理を行いその請求を棄却したことになんらの違法はない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見解に基づいて原判決を非難するにすぎないものであつて、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 吉田豊 裁判官 本林譲)

(昭和五〇年(行ツ)第八五号 上告人 宮城株式会社)

上告人の上告理由

一、第一審判決は上告人(第一審原告)の請求の趣旨第一項及び第二項を容認し、第三項の一部についてのみ上告人敗訴の判決をなし、これに対し上告人は、右敗訴部分につき、被上告人(第一審被告)は、被上告人勝訴部分を除く全部に対し、控訴をなしたが、原審において被上告人は右第一項及び第二項に対する控訴を取下げたるため、上告人の勝訴部分である右第一項及び第二項についての第一審判決は確定した。

そして原審は上告人の残る請求の趣旨第三項につき、第一審判決を取消して、上告人の全部敗訴の判決をなした。

二、そもそも本件においては、上告人の請求の趣旨第一項、青色申告書提出承認の取消処分の取消を求める訴、同第二項、更正処分の取消を求める訴、同第三項、源泉徴収賦課決定処分の取消を求める訴、いづれもその請求の基礎を同じくするものである。

三、してみれば、第一審判決が、上告人の第一及び第二の訴について、いづれも「理由附記」に違法があつたとして上告人の請求を容認するに止まらず、第三の訴について請求の基礎事実の実体審理をなし、上告人に対し敗訴の判決をなしたることは、一事不再理の原則に反するといわなければならない。

四、即ち第一審判決が上告人の第一及び第二の訴につき、被上告人の処分を違法として当該処分を取消したることは、結果的には上告人が被上告人に対してなした当該事業年度の法人税確定申告に包含された事実が是認されたことに外ならない。

五、しかるに第一審判決並びに原判決は、上告人の第三の訴を判断するに当つて、自から容認し、また原審において被上告人の控訴取下によつて確定した第一及び第二の請の請求の基礎を堀り起すが如く実体審理に立入ることは、一事不再理の原則に反するといわなければならない。

故に第一審並びに原判決の上告人敗訴部分については、正に判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背があるので破毀されるべく上告する次第である。

以上

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